意外に危険なイソジン(ポピドンヨード) イソジン焼け イソジンの誤解
ただ~いま~の後は~がーらがーらじんじ~ん♪
イソジンと言えば、あのカバがうがいしてるCMを思い出す。
そのイソジンは手術部位の消毒にも使われる。
手術で使うくらいだから、それはもう広範囲の細菌・菌・ウィルス等々に有効で殺菌力に優れたものだ。術後感染しないように、皮膚は入念に消毒される。初見だとビックリするくらい消毒する。250mlのイソジン1本使いきる位に。整形外科なんかだと2本は使う。
うっすら消毒しても意味がないので、ひたひたのイソジン綿球で何度も消毒する。辺りはドボドボだ。
で、このドボドボがやっかいなのである。単純にシーツが汚れる・濡れる程度ならいい。問題はそれがイソジンであることだ。放置しているとドボドボに接触している皮膚が化学熱傷を起こす。通称イソジン焼けである。発赤が残るだけならマシな方だが、ひどくなると皮膚がただれる。後に潰瘍になる。
外科の腹部の手術だと大体これくらいの範囲(左図)で消毒する。
で、赤いところにイソジン溜まりができる(右図)。
これを何の対策もなく、放置するともれなく術後、赤いところにイソジン焼けが発生することになる。
イソジンとは・・・
イソジンは皮膚の水分と反応(希釈される)する事で遊離ヨウ素を発生、これが殺菌効果を生む。はじめから希釈して使用すると殺菌効果はより強力になるが、有機物による不活化を生じやすくなるので原液で使用する。
イソジンの良くある誤解
ここでよくある間違いが、「必ず乾燥させないといけない」とよく言われることだ。看護部の研修でもそう言われたが、これは正確ではない。実際のところは、殺菌効果が出るまでに数十秒要すため、目安として乾燥する位待ちましょうということらしい。ICT(感染管理チーム)の外科医が言っていた。
つまり、早く乾燥させようとして「薄く消毒する」というのは間違っている。消毒効果を確実に得るためにもドボドボにしといて待てばよい、ということになる。
イソジン焼け対策とは
皮膚はドボドボ、シーツはキレイ・・・にするために、我々手術室看護師が何をしているか。イソジン吸収用のいいのがあるみたいだけどコストがかかる。代わりにタオルを敷き詰めて不要なイソジンを吸収するのである。
上の図でいう、赤部分にタオルを敷きこむ。手術始まる前に除去する。シーツキレイ。という算段だ。
それから、赤部分の皮膚とシーツの設置面にワセリンを塗り込む。イソジンが後から垂れてきても弾けるようにするためだ。
というわけで、術後患者の体幹側面と臀部周辺がヌルヌルなのはそういう事である。
あれ?カバじゃない。イヌになってる?
明治さんのがカバらしい。2015年になんかあったみたいね。
ということは最近の子供はあのCM知らない・・・?
ショック。
以上。