手術室看護師の日記

今更聞けないこと、気になった事を調べてみる。あと日記。ダイエットの事。

麻酔 術前絶飲食の理由 飲んだらテヘペロでは済まない

 術前の重要項目

 

全身麻酔の手術を受ける患者が、麻酔科診察で言われる大事な事のひとつ。

「〇時から絶食、〇時から絶飲。」

絶食:〇時から固形物は何も食べてはいけません。水・お茶・ブラックコーヒー・スポーツドリンクは良いです。ジュース・牛乳なんかはダメです。

絶飲:何も食べても飲んでもいけません。

という意味だ。

絶食6~8時間前、絶飲3時間前位が目安だろうか。ただし、消化管の手術なんかだとこの限りではない。

 

絶飲食の理由

何故絶飲食か。胃を空っぽにしておくためだ。

胃に物が入っていると、全身麻酔がかかった時に逆流してくるおそれがある。麻酔で眠り、体は弛緩しているので、「ゲボッ」というやつではなく、静かな嘔吐。

言わばゲロの水面上昇である。

 

その結果・・・

まずいのは窒息・誤嚥する事。嘔吐物には、食べ物だけでなく胃液も混ざっている。

気管に入ろうものなら大変なことになる。肺炎待ったなし、ICU長期入院コースである。手術できるかも怪しい。最悪死ぬ。

だから、「すみませーん飲んじゃいましたー」では済まないのだ。

 

もし飲んでしまったら?

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「うっかり飲んでしまった」という場合、麻酔科医にもよるが手術延期である。絶飲食するにはそれだけの理由があり、リスクがあるということだ。

手術スケジュールがギッシリな時は、翌日に延期というワケにもいかず、一旦退院何てこともあり得る話だ。

手術も何もしていないのに退院。入院している以上、入院費は取られる。損しかない。だから絶飲食は厳守せねばならない。

そして担当看護師に待っているのはインシデントレポートである。気の毒。

 

 

じゃあ緊急手術の時どうするの

 

 それでも、絶飲食時間を待てない緊急時もある。

そんな時は、物理的に逆流しないようにする。患者の喉(輪状軟骨)を圧迫して食道を閉鎖するのである。これは患者が眠る前からするのでやる側も辛い。

で、気管挿管→聴診して挿管できたことを確認してから圧迫解除する。

これを、セリック法というらしい。考案者セリックさんかな?

 

セリック法は知っているが・・・

セリック法という名称は聞いたことないけど、やり方は知っている。

が、輪状軟骨の圧迫とはどれ位の強さなのか。

調べてみると、3本の指で3kg程度の強さらしい。

中には、患者が起きている間は1kg、寝たら3kgというのもあった。

迅速導入(挿管失敗の対処)東京医科大学 麻酔科学分野

今度、手術室の計量器でやってみよう。

 

そういえばBURP法と似ているようで、目的は全く違う。

今度まとめてみよう。

以上。